勉強につまずく人のための英語学習ブログ

TOEICを3カ月で400点から900点にあげ、外資系企業に入社した筆者の体験を元にした英語学習ブログです。現在は人材領域で会社経営。

パイロットに聞いた!空を飛ぶために必要な英語とは?

毎日、たくさんの人を乗せて空を飛ぶ飛行機。その操縦を担うのがパイロットです。高度な専門職であり、パイロットになるまでの道のり、そしてパイロットになってからの日々の勉強や体調管理とプロアスリート並みの生活が求められます。それと同時に日常業務で英語を使用する職業であります。

 

多くの命を預かる空のプロフェッショナル、パイロット

 パイロットがどのように英語をマスターし、さらに日常でどのような英語を使用するかを聞いてみました。パイロットの方にインタビューするのは大変貴重な機会ですのでぜひご注目ください。

パイロットになるために手術までする

- 英語の話に入る前に、パイロットにはどうやったらなれるのでしょうか?

私は、国立大学の理系学部に在学中に航空大学を受験して合格しました。パイロットになる方法は日本国内においては、大きなルートは3つあって、JAL(日本航空)やANA(全日本空輸)やそのグループ会社を通常の就職活動のように受験して、合格する方法。そして、もう一つは私のように航空大学校を受験し、そこで学んだ後に、前述の民間企業に就職する方法です。加えて、東海大学や法政大学にパイロット養成コースがあり、そちらで操縦士免許の取得をすることができます。海外留学費用が別途かかるので学費がとても高いのが特徴です。

参照: 独立行政法人 航空大学校 | 日本唯一の公立エアライン・パイロット養成機関

- 航空大学校というのがあるのですね。受験はさぞ倍率が高いのでしょう。

一次試験から合わせて倍率は6~10倍程度です。毎年多くの学生がこぞって挑戦しています。一次試験問題は、理系の大学受験と近いです。物理、英語、数学、航空関連の基礎的な知識を問う問題がでます。大学受験時にそれなりに勉強はしていましたが、すっかり忘れていたので復習をして乗り切りました。その後、身体検査があります。この身体検査が難関で、体が少しでも不健康であったら、検査にひっかかってしまいます。

その地点ですぐに不合格です。あらゆる項目がチェックされ少しでもリスクとみなされる点があればパイロットとしての資質がないと見なされすぐに不合格になってしまいます。例えば、鼻の形も詳しく見られます。鼻の構造が変に歪曲していたりすると、気圧の変化によって空気がたまりやすくなり、体のバランスをつかさどる器官に影響を及ぼすため、パイロットとして不適になります。

手術をして、合格までこぎつける人も少なくありません。色覚に異常がある人ももちろん不合格になります。脳波も詳しく見られます。

- なんと、手術までするのですか。英語の話にまだ行っていないのですが、どのような訓練をするのでしょうか?

約2年間の教育課程で、3拠点を基にパイロットに必要な資質を学んでいきます。宮崎、帯広、仙台が拠点となっており、半年程度、座学を行った後に、実習で空を飛ぶ訓練を行います。実際に空を飛んで、教官と一緒ではありますが、空を自分の手で飛んだ時の緊張感と高揚感は形容しがたいものがありました。学校での後半では、いわゆる実技中心の授業で、空を飛ぶ技術と資格を取得します。

その後、就職活動を経て、航空会社に就職していきます。航空大学校にいっても就職活動をしないといけないので、みな一生懸命勉強をします。体を鍛えて、節制をして、勉学に励み、大学の時とはくらべものにならないほどハードな生活でした。それでも同じ夢に向かって勉学に励む仲間との時間はかけがえのないものでした。また近年では女性の入学者もおり、日本の民間企業でも女性の機長候補候補生を採用しはじめています。

 

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- ありがとうございます。そろそろ本題へ。受験時には英語はどのように勉強したのでしょうか?

航空大学校に入るときは、複数の科目が受験科目になっていましたが、英語はしっかり時間を割いて対策をしました。過去問を解いたのはもちろんですが、形式は違いましたが英語力を総合的に鍛えるという意味でTOEICの対策に力を入れていました。

大学院を受験する友人がいて、TOEICの勉強をしていたので、一緒に公式問題集をずっと解いては復習して、解いては復習しての繰り返しを3カ月ほど続けました。

TOEICテスト公式問題集 新形式問題対応編

TOEICテスト公式問題集 新形式問題対応編

 

 

模試形式で何度も解いて復習をする

 - 公式問題集はどのように勉強したのでしょうか?

まず、時間を測って一回分解きます。大学の教室を使って友人5~6人と一緒にやりました。ラジカセを使ってCDを教室で流していました。できるだけTOEICの本番に近い形でやることを意識していました。その後、リーディングは間違った問題をやり直して、復習していました。

リスニングについては、できなかった問題を中心に、CDを何度も再生してみんなで音読していました。一緒に問題を解くと間違っているところが似ていたので誰か1人でも間違った問題は何度も音声を聞いて、その後、自分で発音をする練習をしていました。空き教室で大声で英語の文章を繰り返し発音していたのは僕らくらいだったと思います(笑)

- リスニングをするときに他に気を付けていたことはありますか?

問題集の回答にあった、問題の文章を見ながらでもいいので問題に関係ない箇所もできるだけ自分で言えるようにしていました。関係ない箇所も聞けるようにならないとTOEICの点数は伸びないんですね。

当時TOEICが500点ないくらいだったので、結構聞き取れない単語が多くて。単語は文章で見たら理解できるものがほとんどだったのですが、リスニングで聞くとさっぱりでした。そこで何度も聞きなおすことで徐々にリスニングの力をつけていき、3カ月一生懸命取り組んだら700点中盤の点数までいきました。

このくらいの点数がとれれば航空大学校の英語試験はパスできると聞いていたので安心して本番の試験に取り組むことができました。英語は数学や物理と違い計算ミスによって点数が上下しにくいために、普段通りの実力をだせば点数がとれる科目でした。

流暢な英語が求められているわけではない

- 実際、パイロットはどのような英語を使うのでしょうか?

空を飛ぶときは基本的に英語を使います。そこで最も重要なのが「数字」です。高度だったり、機体のスピード、方位といったりした数字は絶対に間違えれないことです。管制室とコミュニケーションするなかで数字の伝達には細心の注意を払わなければいけません。パイロットで使う英語は数字が主といっても過言ではありません。国際線もあるため、日本国内でも基本的に英語のやりとりで離着陸を行います。方位を1°間違うだけでも大きなミスにつながります。

後は地名ですかね。地名は日本国内メインであれば基本的に間違えることはないです。

- 英語のコミュニケーションで気をつけていることはありますか?

まずは、しっかり相手の発言を聞くことです。そのためリスニング力に関しては高いレベルが要求されます。試験の英語とは違い、機内では無線に雑音が入ることもあるため必ずしもきれいな音がくるとはかぎりません。

もし、聞き取れなかったらしっかり聞き返さないといけません。曖昧なままコミュニケーションを進めてしまうことが一番いけません。しっかりと聞き返し、自分が理解するまで質問することを意識しています。お客様の命をあずかっているので自分勝手な判断は大きなミスにつながります。緊張感をもって常に仕事に取り組んでいますね。

- 現在はどのような英語の勉強をしていますか?

主に仕事で使う専門用語の勉強をしています。勉強法は昔と変わらなくて模試形式で何度も繰り返して、復習してということです。後はしっかりと発声をしています。発音の正しさよりも、しっかりと言えるかどうかが重要なのです。実はパイロットは帰国子女の方もおり、流暢な英語を操る人もいるのですが、どうしても少し崩れた英語を話しがちなのでコミュニケーションをとるうえでは不適とされます。

そのため、パイロット英語は日本人が使うカタカナ英語に近しいものがあります。英語をきれいに使うことより、管制室とコミュニケーションをとるために必要になっています。国際線ではまた事情が違うかもしれませんが、現在は国内を飛んでいるため、あくまで国内の話ということでご理解ください。

- パイロット英語は難しいですね。ほかにパイロットとして英語に限らずパイロットを目指す方へ向けてアドバイスをいただけると。

2点メッセージを伝えたいとお思います。

1.継続的な習慣を!

受験でも訓練に入ってもパイロットとして働き続ける上でも、この仕事は常に70点以上を取り続ける仕事だから、その時だけ頑張るっていうのではなく継続的に勉強と運動をする習慣が必要です。英語も継続的にやらないと伸びないのと同じです。

2.ATTITUDEがなによりも大切!
飛行機の姿勢が正しくなければならないように、訓練やフライトに対しても常に学ぶ姿勢をもってください!また人間関係においても仲間に対する姿勢(誠意)を大切にしてください。

偉そうに書きましたが、私もまだまだなのでこれから一流のパイロットになれるべく日々精進を重ねていきたいと思います。

- ありがとうございました。現役パイロットの方にお話しを聞く機会は大変貴重でしたので参考になりました!